安全性と利便性の間に立ちはだかる分厚い壁|改正薬事法による大衆薬のネット販売規制は見切り発車
- 2009年5月30日 03:39
- 松岡 雄司
先般のコラム「2009年6月──、改正薬事法施行|一般医薬品のインターネット販売規制強化へ」でもお伝えしていました、2009年6月施行の改正薬事法に対する省令案「薬事法施行規則等の一部を改正する省令案」が、問題を残したまま明後日(2009年6月1日)からいよいよスタートと相成りました。厚生労働省は、ネット業者や世論の反対意見を考慮し、今後2年間の経過措置として、薬局がない離島居住者や継続使用している薬に限ってネット販売を認める妥協案を提示。この妥協条件の曖昧さに対してさらに突っ込みが入る形となっていました。
改正薬事法施行ギリギリの5月22日に検討会にて議論したものの、結局意見はまとまらなかったもよう。見切り発車を決めた厚労省に対して、「ケンコーコム」(東京都港区)と「ウェルネット」(横浜市)が早速薬事法施行規則の取り消しなどを求めて東京地裁に提訴したという話題もあり、完全に混乱は避けられない状況です。
提訴の理由は、従来より市販薬のネット販売は合法であり、禁止する合理的理由もなまま見切り発車するのは、職業選択の自由を侵害するとの考えから。混乱必至の状況です。個人的な意見になりますが、確かに今回の省令案による規制で得をする人はほぼいないのでは無いかと考えます。ジェネリック医薬品の拡販を狙う厚労省も含めて。
インターネットは、創成期より信頼性・信憑性の低さと、他のメディアを遥かにしのぐ利便性について語られ続けてきました。それは成長期にある今でも依然として指摘され続けている部分です。今回の改正薬事法に関する一連の騒動においても、安全性(信頼性)に対する疑問が投げかけられ、逆に利便性を損なう弊害についても危惧されています。
まさにWeb広告に関わる私たちを取り巻く状況を象徴的に表しているといえるのではないでしょうか? ネット社会にどっぷりと浸かっていると「顔が見えないこと」に対する不安意識は薄れがちですが、Web広告における信頼性や信憑性の訴求についての重要性を改めて痛感した次第です。
前置きが長くなりました。さて、今回の騒動の問題は諸々ありますが、すべての利害関係者が揃って信頼性を損なうような主張を繰り返しているように感じたのは私だけでしょうか?
厚労省や薬局・薬店、コンビニ、家電販売店、スーパー、薬剤師、ネット販売業者、伝承薬の販売業者、医療関係従事者など、自らの利益に有利な主張を繰り返している状況に感じられ、本当に困っている人たちが蔑ろになっていないか、二の次にされていないか、議論の真意に疑問を抱いてしまいました。
医薬品のネット販売事業は年間で300億円を超えていることがそう思わせたのでしょうか。薬剤師の雇用問題、人材過多がそう思わせたのでしょうか。ジェネリック医薬品の普及不振がそう思わせたのでしょうか。
いずれにせよ賽は投げられました。私たちができることは、法令への対応とユーザーの利便性のギャップを可能な限り埋め合わせ、バランスを図りながら訴求することです。そして確かに横たわるネット通販の盲点の改善に努め安全性と利便性が両立できるよう真摯に取り組むことが大切だと思います。クライアントの目先の利益ではなく、将来の趨勢をしっかりと意識しながら最善のご提案をすることは、Webコンサルタントとしてのポリシーです。
以下のページにもポリシーを記載しています。
信頼は企業の命です|法的な観点から商品の強みを表現
※近日リニューアル予定


松岡雄司






