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「歯科タウン1000医院突破キャンペーン」に多数のご応募ありがとうございました。

 十八世紀フランスの哲学者デニス・ディドロは、『私の古いガウンを手放したことについての後悔』という題のエッセーを書いた。ディドロの後悔は、美しい緋色のガウンの贈り物によって引き起こされた。
/『消費するアメリカ人 なぜ要らないものまで欲しがるか』(ジュリエット B.ショア著,森岡孝二監訳)

 先日、10月20日までの約1ヶ月半強の間、当社運営の歯科タウンで、懸賞キャンペーンをおこなっていました(キャンペーン告知ページはこちら)。

cf.「歯科タウン1000医院突破キャンペーン」のプレスリリースはこちら

 応募総数は約5,000件。幾つか有名懸賞告知媒体へは掲載頂いたものの、定期的に開催しているキャンペーンではないことを考えると、予想を超える応募者数でした。ご応募頂きました方々へ、この場を借りて御礼申し上げたいと思います。応募に際しては幾つかアンケートにお答え頂かなくてはならず、ご面倒をお掛けしました。頂いたご意見は、当サイトの今後の機能面やデザイン面での改善に繋げ、歯のことで困ったときに今以上に利用しやすいサイトにしていきたいと思います。

 懸賞キャンペーンであるにも関わらず、好意的な内容から手厳しいご意見まで様々で、忌憚なきご意見に本当に感謝しております。サイト改善は管理者が行うべきものではありますが、こうした第三者的な観点からの改善要望は、マーケティング要素として大変参考になります。万人にとって有用なサイト足ることは大変難しいですが、少しずつでも今以上に便利なサイトを目指して開発努力を続けていきたいと再び確信致しました。

 さて、今回のキャンペーンの主旨としては、「歯科タウン」にご掲載頂いている歯科医院の数が1000件を突破したことに因んだもので、当社としてはこれを一つの節目をしておこないました。ところが、正直なところ、その実態としては本来あるべき当サイトの意義は満たせていないことは十分承知しています。応募者の多くの方が、「もっと掲載歯科医院数を増やして欲しい!」、「自分の住む地域の歯科医院が掲載されていない」といったことをご指摘されていました。

 確かに全国版として謳っている歯科タウンであるのに、こうした多くの潜在的な患者層の需要に対し、供給が追い付いていないのは事実かと思います。なにしろ全国にある歯科医院の数は約68,000件(内、東京都に10,000件強で、全体の約15%強を占めます)、主要コンビニの2倍以上と言われます。その中で1,000件が占める割合は、わずか1.5%でしかありません。まだまだ私たちの仕事は、今以上に加速して続けていかなくてはならないという使命感を感じました。

cf.参考サイト
医療施設動態調査(平成20年7月末概数)/厚生労働省
国内店舗数(セブン-イレブン・ジャパン)
国内店舗数(ローソン)
国内店舗数(ファミリーマート)

 そうした背景の中でも、多くのご応募が頂けた背景として、「Yahoo!懸賞」や「goo 懸賞」といった大手ポータルサイトに懸賞情報が掲載されたことのほか、景品の魅力もあるかもしれません。A賞には「Wii」+「Wii Fit」、B賞には「iPod nano(4GB)」と、どちらも人気の製品です。

※iPodは、米国および他の国々で登録されたApple Inc.の商標です。
※当キャンペーンはAppleの提供・協賛によるものではありません。

 任天堂の商品開発における背景について、私が知るところは以前にもコラムで触れたことがありました。

cf.「年末商戦と消費キーワード ~ゲーム業界合従連衡の中で~」
http://web-consultants.jp/blog/ogawa/2007/12/post-3.html

 またアップル製品については、多くの人が知っているように、リリースするものが次々と売れているような印象を受けます。どちらも消費者喚起をするにはトレンドに合っているし、好印象な製品だったのではないでしょうか。

 ところで、この二社の製品はどちらもリリース後、急激に売れるといった共通点がありましたが、任天堂の場合、製品によってはすぐに品薄になってしまう特徴がありました。まるで急激な供給の後の、需要の冷え込みを事前にコントロールしているかのような販売手法のようにも思えたものでした。一方でアップル製品の場合は、そうした側面に加え、やはりあの製品ラインナップに横串を通したように統一された独特なデザインと質感、そしてリリース前から期待された機能や操作性といった魅力を兼ね備えている製品ですね。

cf.参考サイト
・Macユーザーは「人と違ったことが好き」、Windowsは「普通が好き」――アスキー調査(ITmedia News,2008年10月03日)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0810/03/news084.html
・DESIGN IT! : iPhone×企業情報システム -次世代UIのガイドライン(ソシオメディア株式会社)
http://www.designit.jp/archives/2008/09/vol1_iphone_intro.html

 一つ製品を購入すると、そのシンプルで洗練されたデザインで自身の所有欲を満たしたくなるような感覚。誰しも一度はそういった誘惑に駆られたことがあるかもしれません。似たような感覚に、ソニーの「VAIO」シリーズがあると思います。パソコンの主力ラインナップに名付けられたブランドですが、「VAIO」でソニー製品を手にすると、テレビは「BRABIA」、ゲーム機は「PS3」、「PSP」と買い揃えてしまったのは他でもない私です。もちろんこれは一つの事例であって、皆が皆そうであるとは思わないので、私的な感想と思って頂きたいですが。

 この「VAIO」のネーミングとロゴを開発したのは、ソニーのプロダクト・デザイナーである後藤禎祐氏です。1994年にデザインに携わった初代プレイステーションがグッドデザイン賞を受賞、その後「PS2」、「PS3」と、ハードウェアのデザインに関わっておられます。ソニーのデザイナーについて触れるのは、黒木靖夫氏に次いで2人目になります。

 巷に溢れる製品って、どんな人がデザインしたのだろう?と興味が沸きます。特に最近では、情報デザインや情報アーキテクチャ、インタラクションデザインの面で、Web以外の世界でも学べる部分は多く、関連記事には興味を持って目を通すようにしています。

cf.
・Interviews with PLAYSTATION(R)3 Designers - Teiyu Goto xPLAYSTATION(R)3 Hardware
http://www.playstation.com/ps3-design/hardware.html
・「故黒木靖夫氏と"クリエイティブ"に対する私の思い」
http://web-consultants.jp/blog/ogawa/2007/10/post.html

 ――と、このようにして、こうした製品が世の中に誕生するまでの背景を知ると、なおさら手元において置きたくなってしまいます。

 

 冒頭に掲げたエピグラムはこれと似ているかもしれませんが、知人から贈られたガウンが気に入り、既に所有していたふるいガウンを捨ててしまうのですが、その後、書斎にあるすべての調度品が、このお気に入りのガウンに合わないと思えてきて、次々に揃えなおしてしまったというエピソードを書いたディドロに倣って、思わず調和を求めてしまう心理を「ディドロ効果」と呼んでいることを説明した一節です。

 最後になりますが、本書では、こうして次々と消費へ向かう大量生産時代のアメリカ社会にスポットを当てた内容となっています。『働きすぎのアメリカ人』を書いた著者の作品で、昨今の「サブプライムローン問題」に端を発する世界的な金融危機を迎えた時代にあって象徴的な内容だなと感じました。以下に、本書の一節を抜き書いてみます。

 ほとんどすべてのアメリカ人が家を買うために借金をし、車の大半は分割払いで購入している。さらにクレジットカード残高、消費者金融ローン、デパートの債務、個人からの借金などを考えると、家計の負債がいかに拡がっているかが分かる(一九九七年末現在、約五.五兆ドル〔約880兆円〕)。<中略>これから分かるように、アメリカ人の債務支払いに当てられる可処分所得の割合は増加し続けており、いまでは十八%に達している。平均的世帯の負債総額はこの数十年情け容赦なく増加しており、いまや世帯の年間収入に匹敵する。
 借金額の増加の大部分はクレジットカードによるものである。一九九〇年から九六年の間にクレジットカードによる負債は倍になった。
/前出『消費するアメリカ人 なぜ要らないものまで欲しがるか』、「第4章 消費があなたらしさを創る」より。

cf.クレジットカードについて触れたエントリー
・クリエイターは消費者の夢を見るか? ~第二四半期末社員総会を終えて~
http://web-consultants.jp/blog/ogawa/2008/10/post-17.html

 GDP(国内総生産)で言えば世界でも1位、2位に位置づけるアメリカと日本(Wikipedia「国内総生産」)。むしろ富んだ国家であるようにも見えるのですが、これが経済の難しいところなのだなと思いました。もちろん消費自体が悪いことではなく、むしろ消費がなくなれば景気はより後退すると言われます。肝心なのは、バランスだという内容が書かれているのでしょうか。1929年の世界大恐慌のときに比べれば、経済学も高度に発展したものと思いますが、同時に人口も増え、社会の仕組みも複雑化したのかもしれませんね。

 実際、こうした世相ですから消費に対して消極的になってしまう風潮もあるかもしれませんが、企業にとっては利益を得るためにどうしても必要な行為が投資です。私たちはそうした投資に当てられた大切な費用を頂いて、Webを通したご提案をしなくてはならないわけですから、常に自己研鑽に励む必要があります。私たちはお客様の多くとは違って会社に雇用される側の立場ではありますが、将来得るべき利益のための投資と思って自身の労働力の価値研鑽を積んでいるといった当事者意識で職務に当たり、なるべくお客様と近しい対等な関係でいたいと考えています。

 

 話が本題からだいぶずれてしまいましたが、「歯科タウン」に掲載頂ける歯科医院様、そしてその「歯科タウン」を通して診療予約サービスをご利用頂ける患者様からのニーズをしっかりと拾い上げて、当サービスに関わるすべての人が、何かしらの価値を享受して頂けるようなアイデアを、今後も引き続き社内から創出していきたいと思っています。

クリエイターは消費者の夢を見るか? ~第二四半期末社員総会を終えて~

願望実現機とは、労働人口の不足に悩む未来社会が、過去の人間たちを不死にして無償の労働力にするために考えだした「人狩りマシーン」だったのである。
/『衝動買い日記』(鹿島茂著)

 ご報告が遅れましたが、先々週の4日(土)に、今期に入って2回目の社員総会が、渋谷にあるClub Camelotで行われました。3ヶ月に1度社員総会を行うことで、1年で4年分の成長をしようという試みで始まった第1回の様子は以前にも本コラム(「第8期第一四半期社員総会を終えて ~ゴールビジョンを明確に言語化し、共有する~」)でお伝えした通りです。

◆社長より、開会の挨拶

社長.jpg
 今回は、前回全社に向けてコミットメントした今期のゴールビジョンに対して、どれだけの進捗があったかを全社員の前で発表したり、来年度入社予定の新卒内定者の内定式を兼ねた第一部と、余興や歓談などを中心とした第二部に分けて行われました。私たちCS部でも幾つか進展があり、報告をしました。

 CS部が今期期初に掲げたゴールビジョンは――、

生産管理のQCDS(品質<Quality>・コスト<Cost>・納期<Delivery>・サービス<Service>)を意識した、新たな中小・ベンチャー企業向けWebコンサルティング組織の創出

 ――でした。 

 前期のゴールビジョンに、「サービス<Service>」が追加されただけですが、私たちにとっては大きな一歩でした。前期は正直に言いまして、急激な成長期に伴う痛みと言うべきか、部内では組織形成が追い付かずにどこかギクシャクとした業務状況でした。後半盛り返して、ようやく最低限の品質管理の域にまで到達できたのではないかと考えています。

 「Webコンサルティング」という形のないものを扱っているため分かりにくい部分もあるかと思いますが、CS部の本質は、「ものづくり」と「サービス」ではないかと考えています。こうした業態は既に他の業種にも見られます。飲食店がその一つです。皆さんにとって、理想の飲食店とはどのようなものですか?

 例えば、「うまい、安い、早い」のコピーで有名な吉野家。このコピーが既にものづくりで言うところの「QCD」のポリシーを表していると思います。私たちは前期、言葉で言えばこんな簡単な「うまい、安い、早い」を実現するために相当な苦労をしました。これを世の中に向けて発信して約束するためには、月間100サイト前後を毎月取り扱っている当社において、俗に言われる「見える化(数値化・グラフ化・文書化等)」を行い、これほどまでに個人に依存しやすい労働集約型、属人的なWebコンサルティングの業務上にあって、ヒューマンエラーを極限まで少なくするための案件管理が求められました。

 

 そうして、ある程度の水準にまで標準化できた前期末、私はふと一抹の疑問を抱きました。

「この生産管理体制は、まるでロボットだ――」

 当社の創業まもない頃、ミスがあったり過剰サービスがあったり、すべてのお客様に対して均質なサービスを提供できなかった時代に比べ、生産効率や品質は格段に向上しました。ところが、同時に失われそうになったのが、「サービス精神」でした。「ホスピタリティ(おもてなしの心)」と言い換えても良いかもしれません。この先にあるのは、人間味・人情のない、消費のための生産しかない――。

 贅沢な悩みなのかもしれません。しかし、理想というものは一つ叶えるとまた一つ、その先にある理想を追い求めたくなるものです。そういった背景の中で今期がスタートしたのですが、同じタイミングで今期末のゴールビジョンを一新する機会があったため、私は先述のように「サービス<Service>」を加えてストレッチさせた「QCDS」を意識した体制を目指すことにしました。

 「うまい、安い、早い、そして心地よいサービス」――、果たしてそんな「Webコンサルティング」は実現可能なのだろうか?想像できないことは実現できない。まずはそれが言い表しているサービスがどのようなものかをひたすら想像するところから始めてみることにし、現在も精度向上に向けて取り組んでいるところです。

 

 ところで先の「ロボット」ですが、昨今その用語が使われ出したのは、カレル・チャペックの戯曲、『ロボット(R.U.R.)』以降と言われ、語源はチェコ語の"robota"(「苦役」や「労働」の意)とスロバキア語の"robotonik"(「労働者」の意)を掛け合わせた造語だそうです。本書が書かれた時代背景なども考慮するとかなりの時代批評や文明批評を散りばめているのですが、こうした設定は他のSF小説にもよく見られます。

 冒頭のエピグラムで紹介している鹿島茂氏の『衝動買い日記』は、単に衝動買いが抑えられない物欲の虜になった経緯だけが書かれているわけでなく、幾つか興味深い引用があります。「人狩りマシーン」とだけ聞くと物騒な物言いですが、ロバート・シェクリイという米SF作家の短編作品、『願望実現機』について著者が言及した内容となります。

 主人公の男がここぞとばかりにあらゆる願望を叶えていたところへ、タイムマシーンに乗った執達史が現れ、それまで実現した願望の金額の支払いを命じる。それを返済するために男は未来社会で強制労働に従事することになるという話だそうですが、著者曰くこの小説で描き出されているものは、まさに本書で描かれている1950年代のアメリカ社会で急激な勢いで普及していったという「クレジットカード」のことではないかとのことでした。確かにクレジットカードは、未来に引き落とされるお金を現時点で使って支払いを先送りにし、消費願望を満たす際にも使われます。言い得て妙ですが、SF小説は時代背景も映すものなんですね。

 

 閑話休題。いずれにしても、私たちだけでなく世の中で何かの仕事に就いている人は、仕事を「苦役」だなんて思わないようにしたいですね。「苦役」から生まれるものよりは、自己実現の果てに生まれた仕事の成果の方が、きっと利用する消費者も喜んでくれるのではないかと思います。もちろん社会に流通しているものの中には、例えば皆さんが着ている服など、過酷な労働環境下で作られたものもあるかもしれません。そういう点では、Webサイトの構築も同じようなものかもしれません。Web制作の現場を知らない方は、スマートな打ち合わせ風景などを思い浮かべることもあるかもしれませんが、実際にはそういった側面のほか地道な作業が無数にあります。

◆社員総会後の後片付け。CS部制作課の映像制作チーム

後片付け.jpg
 そうした環境の中で忘れて欲しくない考え方に、「ユーザー志向」(顧客目線)があります。「お客様のお客様はどんな人なのか――」、ある程度の生産効率を実現するためには合理化しなくてはならない要素も多分にありますが、合理化されたシステムだけではどうにもならない消費者心理があることもまた事実です。当社のWebクリエイター全員が、納品したWebサイトがエンドユーザーに利用されるようなイメージを持って制作に取り組んで欲しいと常に思っています。もちろんクリエイターだけでなく、制作工程に携わる人全てが同じ気持ちで制作に関わって欲しいのですが、特に今後標準化が求められる、また、お客様や消費者から見て最も遠いポジションにいるクリエイターにとって、その考えはなくして欲しくないと考えています。

 

 本コラム表題の「クリエイターは消費者の夢を見るか?」は、もちろん、フィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(映画『ブレードランナー』の原作とされる)をもじった造語ですが、クリエイターも人間であることに変わりません。「ものづくり」や「サービス」に対する考え方の中に芸術的・職人的なストイックさは求めたいですが、芯には人間であるが故の発想も欲しいです。そこからWebならではのマーケティングの発想などに繋げ、お客様のさらなるお役に立てるようなサービスを展開していければと考えています。


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写真 執行役員CS本部長 小川 悟

Twitterやってます。CS本部はディレクター、ライター、Web/映像クリエイター、QC(品質管理)スタッフ、Webアナリスト、コンタクトセンターからなる部門です。中小・ベンチャー企業向けWebコンサルティングを提供する上で必要な人財の育成、生産管理、サービス体制の整備を行い分業・専門化を進める傍ら、営業部門やお取引先様も巻き込み、各工程別ガイドラインの整備や業務の標準化はもちろん、前工程・後工程のスタッフを「みなし顧客」として成果のフィードバックを行うことで内部牽制したりといった品質管理を行っております。また、一部広報業務も兼務しています。座右の銘は「桃李言わざれども下自ずから蹊を成す」(『史記』/司馬遷)