バックアップにはコストがかかる
投稿者:制作部
2012/07/02 19:26
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ファーストサーバー様の件は、業界的にはかなり大きな事故でしたので私も同じく背筋が凍りつくような想いでニュースを確認していました。
事故については、ファーストサーバー様が自社サイトで事故報告を行っている事や、多数の方が様々な角度から分析しているようですので、私は「じゃ、バックアップとろうよ!」という現場視点で今日は綴っていきたいと思います。
そもそも、なぜサーバーの利用者がバックアップ取らなければならないのでしょうか
そんな疑問を持つ方が多いのではないかと予想しております。
「常に、バックアップします」と、あえて謳っているサービス以外では、殆どの場合、オンライン上にあるデータは保障されていません。
もちろんサービスを提供するにあたり、サーバーの信頼性を高める為にRAIDなどで冗長化したり、クラウド構成にして保存先を分散させる事でリスク分散したりしているのだと思いますが、やはり「絶対はない」わけです。
運悪くオンライン上のデータが消え、さらに不運が重なりサーバーで取っているバックアップが消え、不幸が不幸を呼び込んで、ローカルPCに取っていたバックアップも消える事があるかもしれません。
かもしれないに備えるのが、保険だったりするのですが……
例えば、生命保険という商品を見た時に、一体何をバックアップしているんだろうかと、ふと疑問に思います。
私事で恐縮なのですが、およそ一年前に交通事故に遭いまして入院を余儀なくされた事がありました。
お陰さまで今ではピンピンしておりますが、事故当時一ヶ月ほど身動きがとれませんでした。
保険に入っていても人間に替えはききません。
がしかし、生命保険の場合は金銭面でのバックアップが行われるのは皆さんご存知の通りです。
この場合のバックアップは、替えというよりもむしろ、支援といった方がしっくりくる感じです。
私の場合、ひき逃げだったので生命保険に入っていなければ、かなりまずい状況に陥っていた事でしょう。
もしもに備える事がバックアップであり、そのバックアップの維持には、それなりにコストがかかります。
少し話がそれてしまいましたが、データにおけるバックアップは、複製データの事ですし、これさえあれば元通りに近い状態にできます。
情報産業におけるバックアップという保険は非常に有効な手段です。
ただし、昨今の通信インフラ品質の向上により大容量の通信がなされるようになり、バックアップの対象となるデータも同じく大容量になっています。
こうなってくると、毎日バックアップを取るだけでも、多くの労力と時間を要してしまいます。
また、バックアップ先の確保も必要になってきます。
だからこそ、何をどうとるんだという「バックアップポリシー」が必要になってきます。
「バックアップ先=倉庫」と定義した時に、倉庫を借りるだけでも費用が発生するだけでなく、古くなってくると情報の劣化が相対的に起こってしまうので定期的な整理が必要になるでしょう。
倉庫が異次元に繋がっており、いくらでも格納出来るなら最高なのですが、そうは問屋がおろしません。
バックアップを無制限にとれれば、それだけ保守性が高くなり障害発生後の復旧速度は早くなるのですが、それでは費用対効果がよくありません。
生命保険をかけすぎても、使わなければ無駄な出費になってしまうという図式に似てますね。
効果的にバックアップをしていくには、どうすればいいんだろう?
弊社でも5年程前にこれに近しい取り組みをしてまいりました。
新規でのご契約時のお約束としては、納品時データの保障とさせていただいております。
現在ではCD-Rにデータ格納し納品時にお渡ししていますので、何があったとしても最低でも新規納品時データには復旧することは出来るはずです。
また、契約書には記載しておりませんが、直近での作業が発生した場合は、弊社内にてデータを一時的に持たせています。
絶対的ではありませんが、何かあった場合は可能な限り最新に近いデータで復旧させる事が可能です。
どちらかというと、この作業は弊社の企業努力に当たる部分かと思います。
(もちろん外部からのアクセスは物理的にできませんし、権限がない場合は閲覧も出来ない仕組みになっている事は念のためお伝えしておきましょう。)
もともと、情報産業におけるデータというものは、いつどうなるかなんてわかったものではないので、絶対にバックアップとれますよと謳う事は難しいでしょう。
だからこそ、多くの企業ではデータに関しての保障はなく、個々人でバックアップとってくださいね となるわけです。
サーバーという場所の提供、Webサイトというお店の提供などはしていますが、台風などの自然災害時の対処は自分でやりましょうという感覚でしょうか。
様々なブログで言われてますが、バックアップの在り方について改めて、企業も利用者も考える所に差し掛かっています。
特に、CMSなどは、変更作業をブラウザ上のオンラインだけで完結させてしまいますから、データベースのバックアップなどは業界全体の課題なのかもしれません。
データベースを定期的にバックアップする為に、メールで自動送信という手段もとれますが、個人情報が満載のデータベースではその方法はいただけません。
よって、サーバーインフラだけで解決する必要がでてきますが、RAIDによるデータの冗長化がいいのか、複製がいいのか、またまたクラウド化による冗長化がいいのか
いずれにしても、お金のかかる話ではあります。
リスクの大きさに対して、どこまでコストかけれるのか。
大規模サイトであればあるほど、判断が難しくなると思います。
しつこいようで恐縮ですが、絶対はありません。
ただ、コストをかければ、より安全にはなります。
業者を選ぶ際には、何をリスクとして感じていて、どう回避するつもりなのか、少し意地悪に質問してみるといいかもしれませんね。
【編集担当:紀井】