気づかぬうちにアナタはお客様を不快にしているかもしれない、サービスの”終わり際”!?
投稿者:吉田 亮
2010/08/10 10:36
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『結果、良ければ、全て良し』
こういう言葉があります。
どういう経過を辿るにせよ、最後の部分さえ上手く行ってしまえば、全体としてOK!という、少々強引な理屈でありますが、これはこれで、真理の一端を正確に突いています。
しかし。
見方を変えれば、こうも言えます。
結果、悪ければ、全て悪し。
どんなに良い過程を経たとしても、最後の最後で失敗すれば、全てを帳消しにしてしまう。。。
これは特に、接客・サービス業で注意しなければならないところです。
接客・サービス業は、商品・サービス自体の質を含め、良くも悪くも、そのほとんどが、人間の心情で善し悪しが決まる、と言っても過言ではありません。
ここで注意しなければならないのが、「終わり際」です。
第一印象、それはそれでもちろん重要なのですが、人間の心理に色濃く残るのは、時系列の近い方、つまり「去り際」「終わり際」です。
例えば、レストラン。
ここでの「終わり際」は、会計直後、と言うことができます。
どんなに美味しいハンバーグが出てこようと、会計が済んだ途端に「お客様」から「知らない人」に降格し、「私、忙しいのよね」という背中を見せられてしまっては、なかなか悲しいものです。
スピードはとても大切ですし、他のお客様を待たせる訳にもいきません。よほど態度が悪ければ別ですが、その行動に、きっと間違いはありません。「仕事」、ですから。
光景としては、ごく普通に行われることで、資本主義に慣れてしまった現在の日本であれば、それほど気にするようなことでもないと言えます。
しかし、実はここに、ビジネスチャンスが隠れているとも言えるのです。
お見送りが欲しいとは言いませんが、お店を出る時に、「またどうぞ」くらいの声掛けもないレストランに、また来ようと思うでしょうか。
これは、終わり際の、数秒です。
その数秒を効率化のために犠牲にしたところで、仕事が1時間も早く終わる訳がありません。しかし、この数秒は、未来のお客様を一人、獲得できるかもしれないチャンスなのです。
不快に思う人もいれば、まったく気にしない人もいるでしょうが、お見送りや声掛けをされて、気を悪くする人は皆無でしょう。
つまり、終わり際に気を使うことは、プラスにはなれど、ほとんどマイナスにはならないのです。
もう少し、実生活に近いところですと、友人の家に遊びに行って、その帰り際。
友人の家がマンションならば、「じゃあねー」と言って扉を閉めると、『ガシャン』と鍵が降りますよね?一軒家であれば、特に夜ですが、「じゃあねー」と言って扉を閉めると、鍵の閉まる音が聞こえたに、玄関灯が消えますよね?
この瞬間、ちょっと物悲しいと感じたことはないでしょうか。
こういった瞬間の微妙な心情を、昔の俳人が詠んでいたと思います(すいません、誰だか忘れてしまいました)。
せっかく訪ねてきてくれた友人を送り出すときに、まるで早く帰ってくれて良かったような、「終わり際の余韻」をばっさり切ってしまうような送り出し方は、些細なことではあるかもしれませんが、やはりちょっと物悲しい気がします。仮に2分、その場で待ってから鍵を閉め、灯を消したとしても、それでその日の何かが変わるなんて有り得ない訳ですから。
Webコンサルティングは、接客業です。
担当しているお客様は、当然、1社だけではありません。ランチタイム時のコンビニのレジ係のように、次から次へと作業がなだれ込み、とてつもなく忙しくなる瞬間が幾度もあります。
スピードが必要です、効率的に回す必要があります、作業が終わったら、早急に次の作業に手をつけないと間に合わないかもしれません。それは事実です。
しかし。
お客様の前で、次のお客様を見るような素振りは、絶対にNGです。作業としては終わっているのかもしれませんが、物事には必ず余韻があり、その余韻を大切にできるのは、「仕事」ではなく、「人間」だけだったりします。
終わり際の余韻を大切にする。
それは1本の電話でもいいかもしれませんし、メールでも事足りることかもしれません。「他にご質問などございますか?」の一言だけかもしれません。
そんなに時間がかかることではないのに、ついつい、忙しさに呑み込まれてしまう昨今だからこその、あなたの仕事の終わり際。
少し立ち止まって、考えてみては如何でしょうか。