もし企業のマネージャーが『もしドラ』を読んだら!?
投稿者:吉田 亮
2011/02/28 22:40
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『その企業には改革が起こるでしょうか?』
そのマネージャー次第でしょう。
当たり前の断言から始めてしまいましたが、
『革新的なアイデアが次々と生まれ、さまざまな商品やサービスが跋扈する現代。時代の速度に追いつこうと、人々は生まれいでる事象を片端から試し、そのうねりに翻弄されていた。。。』
などという冒頭の小説が登場しそうなくらい、加速を続ける情報化社会において、
最近、少し気になることがありまして、こんなタイトルにしてみました。
それは早過ぎる、多すぎる、流行の移り変わりの影で、
自分の判断を別のモノに委ねてしまっていないだろうか、
という疑問です。
マネージャー職の方であれば、
マネジメントの父であるドラッカーを知らない人の方が少ないと思いますが、
彼の言葉を引用したことのあるマネージャー職の方も多いのではないでしょうか。
何を隠そう、私もその一人ではありますが、
使いどころははっきりしていて、
『自分の言葉よりも、第三者の意見として取り上げた方が、みんなに伝わりやすい』とき、
つまり、自分の言葉で伝えてしまうと、
何となく嘘臭くなり、説得力に欠けるようなとき、
『偉大なる人物の言葉として』使用すると、自分の中では定めています。
『未来を語る前に、今の現実を知らなければならない。現実からしかスタートできないからである。』
このような格言は、
誰かに教わらなくても仕事をしていれば感じることができますが、
自分の言葉として伝えるのはちょっと照れくさいものですので、
そういうときは、偉大なるドラッカー先生にご登場いただくのです。
さて、冒頭の疑問に立ち戻ります。
近年の経営では、市場に守られていた時期とは決定的に異なり、
概要的なフレームワークや手法では、ほとんど役に立たないような企業闘争の中で、
改めて、マネジメントが見直される時期となり、
マネジメントと言えばドラッカーであり、
そのドラッカーをお手軽に学ぶ(?)のであれば、『もしドラ』、
と言っても過言ではないかと思います。
実際には、逆かもしれませんが、これは一種の風潮と言えるでしょう。
それ自体は、まったく問題ないと思います。
流行は時代を直接反映させたものですので、
それ自体が間違っている、誤っている、ということは100%ありません。
必要だから流行る、のは必定です。
なのですが。
では、ドラッカーの示した道を全て実行すれば、
必ずマネジメントに成功するでしょうか。
確かにドラッカーは、マネジメントにおける要点をことごとく射抜き、
まさに真実と言える基礎を築いたと言えるかもしれません。
しかし、そう簡単に行くとは、到底思えないのです。
例えば、某自動車メーカーの生産方式と『KAIZEN』を、
企業の体力も、社員の平均能力値も、リーダーの人数も、
それまでの歴史も全て異なる企業が、
そのまま実践したとして、同じ成果が出せるかというと、
それはないのでは、という気がします。
何故か、と問われるとそれはそれで困るのですが、
現状で可能なことと、不可能なこと、
そして必要なことと、不必要なことの見極めは、
絶対に必要だということです。
現場を引っ張りきれるリーダーもいないのに、
『理論的には正しい手法』を推進したとして、
結局、誰にも実行できないのであれば意味がありません。
不必要なことまで取り入れてしまう危険性があります。
さらに例えば、
経営の基礎、マネジメントの基礎、その心構えとして、良く言われる『掃除力』。
経営者があまりにもその手法にこだわり過ぎたために、
目的そのものが掃除になってしまい、
オフィスはピカピカになったが業績は落ちた、
なんて企業の逸話を何かのニュースで読んだと思います。
もちろん、『掃除力』を否定している訳ではありません。その手法で、上手く行った教育や企業の成功例を、私も幾つも読み聞いています。
しかし、その結果だけに着目して、結果に到った過程に酔心して、自分の母体の状況を棚に上げてしまっては、元も子もありません。
外因から得られるのはヒントであり、決して、正解ではない。
ということを念頭に、今の自分たちが、
それをどう実践するのか、どうずれば実践できるのかを考えるのが、
マネージャー、管理者の仕事です。
決して、知識をひけらかし、理論を語るのが仕事ではないはずです。
正解に限りなく近い、手法や理論というのは、確かにあると思うのですが、
それだけでは、やはり足りないと思うのです。
流行にせよ、感銘を受けた本にせよ、それを実行に移す前に、
まずはそれが机上の空論であると位置付け、
自分の足元で何が起こっているかを確かめる必要があると思います。
そうしなければ、自分の判断、ではなくなってしまうのではないでしょうか。
そういえば、マネジメントの父と言われるドラッカーは、こんな言葉を残しています。
『未来を語る前に、今の現実を知らなければならない。現実からしかスタートできないからである。』