「迷惑メール法」改正案可決 ~顧客との適切なコミュニケーション活動とは~
投稿者:小川 悟
2008/06/01 01:31
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/M&M研究所 三石玲子氏のコラム(2000年10月)より。
5月30日、「迷惑メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)」の改正案が、参議院本会議にて全会一致で可決されたそうですね。
昨今日増しに増えてくる迷惑メール、スパムメールには目に余るものがあります。適切なソリューションの導入なしでは、削除に要する手間もバカになりません。本案の現行案では、ユーザーの承諾を得ずに広告メールを送る際にメールの件名には「未承諾広告※」を入れる、また、以降のメールを受信をしないよう解除手続きができる措置(オプトアウト方式)を図る等が義務付けられていましたが、改正後は、送信前にユーザーから承諾を得る「オプトイン方式」が採用され、ユーザーから事前承諾を得ていない広告メールの送信は違法になるとのことです。ですから、「未承諾広告※」という広告メール自体が禁止となります。罰金額も、最高100万円から3,000万円に引き上げられています。本改正の最大の目的は悪質な業者に対する取締り強化が主なようですが、企業に課せられた社会的責任を考慮するのならば頭の片隅にでも入れておいた方が良いニュースだと感じました。
迷惑メールに関する問題は今に始まったわけではなく、オンラインショッピングやダイレクトマーケティング、データベースマーケティング、Eメールマーケティング等が流行し始めてくる1995年以降、インターネット利用者の増加に伴って法改正も何度か行われてきました。今に至るまで自己利益の追求、あるいは他者の不利益のために法の合間をくぐり抜ける者と、それを規制する法律との間のいたちごっこは延々に繰り返されてきました。
cf.
・cf.「特定電子メール法の平成20年改正について」(「特定電子メール等送信適正化業務」/総務省)
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/d_syohi/h20kaisei.html
・総務・経産省、「!広告!」マークを「未承諾広告」に改定へ(「japan.internet.com」,2002年6月6日)
http://japan.internet.com/public/news/20020606/1.html
ところで、私は前職時代に中小企業のネットショップ構築を支援する仕事に携わっていました。ちょうど2000年頃の話ですが、2000年というと「楽天市場」開設3年が経ち、「Amazon.co.jp」がサービスを開始した頃です。「ブロードバンド」以前の時代で、大半の企業のWebサイトがまだテキストベースで構築されていました。私の主な仕事内容は、ネットショップの構築をするためのASP(Application Service Provider)サービスの利用方法のレクチャーのための訪問業務とコールセンター業務でした。今と同じように、直接会話をするのが中小・ベンチャー企業の社長様かWeb担当社様がほとんどでしたので、電子商取引(Eコマース)のみならず商取引そのものについて多くのことを学ばせて頂いたような気がします。
とは言いながら、当時の私はEコマースどころかインターネットやパソコンの操作そのものがまだ初心者でしたので、お客様から質問を受けた内容を解決できずにいろいろ苦心していました。手がかりとなるキーワードを得た後はネットや書籍で調べて何とか相手が理解できるように説明できるようになり、そうした経験を繰り返す内に少しずつ自分の知識となっていったように記憶しています。さらに私は忘れやすいタイプでしたので、仕事で覚えた内容を備忘録代わりに自宅のパソコンにメールで送るなどしていました。
また、お客様から「さすがプロですね、よく知ってますね」と言われることに悦びを覚え、逆に「プロなのにそんなことも知らないの?」と言われることを極端に恐れるあまり、その後メールマガジンやPC専門誌の定期購読を始めたり、IT系のニュースサイトを定期的に巡回したり、オンラインブックマークサービスやブログの開設、Webサイト制作やMovable Type構築の練習用としてプライベートで独自ドメインを取得し自身のWebサイトを構築、後年はRSS配信やSNSの利用など、ありとあるWeb上のサービスを活用しようとしていました。
そうした動きの中、当時の同僚が自分にもニュースを送って欲しいと言ってきたため、前日のネットサーフィンで見つけた仕事に役立ちそうな業界ニュースのリンクを仕事の合間に送っていました。やがて、自分の勉強のための自宅パソコンへのメール配信は、社内のナレッジ・マネジメントを活性化させるための社内向けメールマガジンの配信へと発展していったのですが、同僚や上司、役員を含む最高100人を超える購読者を対象に退職間際の429回目の配信号まで、最初は日刊、途中から週刊でニュースを編集して配信していました。仕事とは別に毎日ネタを探さなくてはなりませんから、その日以降、社内外のニュースにはますます敏感になっていき、記号やアスキーアートを利用したひな型の作成や、試験的にフリーのJavaアプレット素材を用いたHTMLメールなども実際に作成して配信しました。学生時代から興味を持っていた「編集・執筆」、「広告」、「広報(社内報も兼ねていたため)」を行うことができていました。また、「情報収集」と「情報発信」というビジネス上のコミュニケーションの基礎をそのとき学んだような気もします。
その頃、購読していたメールマガジンに「週刊e-Report」というものがあり(現在も配信されています)、毎月第2木曜日に配信されていた連載企画「三石玲子が注目する3つのECニュース」のコーナーが好きで、今も自宅のパソコンには受信していたメールのバックアップデータが入っています(Web上にもバックナンバーがあります)。
三石玲子氏と言えば、先に触れた2000年には、『Eメールマーケティング―顧客は価値ある情報を待っている』の翻訳や『中小・中堅企業のためのインターネットビジネス戦略』などを刊行され、Webマーケティング業界でもとても著名な方でした。残念ながら2003年7月4日にまだ若くしてお亡くなりになられて随分と話題になったものですが、当時は私もその訃報に衝撃を受けたものでした。
■M&M研究所(三石玲子氏主宰)
http://www.m-m.co.jp/
cf.
・eメールマーケティングは両刃の剣(「japan.internet.com」,2000年11月10日)
http://www.japan.internet.com/wmnews/20001110/print5.html
・eメールの名文を書く(「japan.internet.com」,2001年12月28日)
http://www.japan.internet.com/wmnews/20011228/print1.html
三石氏の説くEMM(Eメールマーケティング)は、今もWeb上に生き続けています。法改正などにより、現在では適用されない内容も一部含まれているかもしれませんが、原理原則は何も変わっていません。
重要なことは、「顧客と適切なコミュニケーション活動を行う」ことです。一方的にメッセージを伝えるだけでは適切なコミュニケーションとは言えませんね。顔の見えない同士で商取引を行うわけですし、ましてやEメールを介しての商行為は、コンバージョン(成約)にも絡む重要な接点です。こうした法改正の影響は、インターネットに詳しい詳しくないは関係なく適用されます。また、それ以前にユーザー心理に立って考えればどのような措置を取るのが望ましいかはある程度は知ることができます。
私たちも「Webコンサルタント.jp」という媒体を介したメールを通して、未来のお客様とのコミュニケーションを図ることがあります。Webコンサルティングを掲げる企業として、まだ至らない点も多くあるかと思います。本件のような環境変化課題に対して今後もより一層柔軟に対応し、制作ガイドラインの整備を急ぐ等、私たちが提供するWebコンサルティングの領域においても、ご利用されるお客様の知識や習慣にとらわれない提案型のソリューションを構築していけるように努力していきたいと思います。