第9期新体制、CS本部は「マーケティング力」と「クリエイティブ力」の強化を推進 ~内定取り消し時代の新卒入社者を迎えて~
投稿者:小川 悟
2009/04/05 16:10
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組織図には事業のすべてが表れる。人に対する考え方や戦略やコミュニケーションがすべて表れる。事業を変えるためには組織図を変えることだ。事業の意思や戦略を組織図に明らかにすることだ。
/『リクルート式「楽しい事業」のつくり方 Hot Pepper ミラクル・ストーリー』(平尾 勇司著)
2009年4月1日、当社は第9期に突入しました。詳細は新社長に就任した以下、木村のコラムをご参照頂きたいのですが、今期より3本部体制となり、私はそのうちの一つであるCS本部を任せて頂くことになりました。
■フリーセル第9期を迎えご挨拶(木村 裕紀)
http://www.web-consultants.jp/column/kimura/2009/04/9.html
経営テーマは「百花繚乱」。一人ひとりが職場の中でスポットライトを浴びて活躍する期にという願いが込められています。CS本部は、大きく「Webマーケティング部」と「制作部」とに分かれます。前者にディレクターや顧客サポート部門、専任のSEO担当者など、後者にはWebデザイナーやプログラマー、映像制作者、ライターなどを集積させ、情報共有の精度向上やサービスの標準化と差別化、ムリ・ムダ・ムラの排除、ヒューマンエラーの未然防止、WebマーケティングやWeb制作に関わる基本スキルの強化を図ります。その根拠となるものとして、前期末までに体系化を進めた各生産ラインごとにまとめた「ガイドライン」や「メソッド」などがあります。市販の書籍にもこの手の内容が多く出ていますが、殊当社のお客様に対するサービス提供や業務フローに見合った内容となると、書籍の内容がピタリと当てはまるケースはなかなかありませんので、当社独自で用意する必要がありました。
他にはやはり、当社の強みを活かした実績の活用が挙げられると思います。単にWeb制作だけを受託で行うマーケットイン型の企業でもなく、ベンダーの開発した商材をOEMなどで販売する営業系の代理店でもなく、一部の商材を除きほとんどの提供商材が全て自社のみで営業、企画・開発、アフターフォローまで一貫して完結できています。同業界で前例が少ないため苦労することも多いですが、前人未到の地だけあって先行者メリットや機密性を得られることも多く、それが市場に対する競争優位になっていると実感しています。
さらに、当社の体制として事業本部に全国で営業スタッフやコンサルタントが75名ほど、マーケティングスタッフが15名、CS本部に80名強おり、全国の多くの中小・ベンチャー企業様に等しくサービス提供を行う体制が整っていますが、全てのお客様に均一なサービスを約束し、提供プランごとに差別化されたベネフィットを顧客提供するためには、力技以外にも論理的思考が求められてきます。
■SEO対策(「Webコンサルタント.jp」より)
http://www.web-consultants.jp/service/seo/
例えば、上記ページをご覧頂けますでしょうか。当社提供のサービスの一つをご利用頂いているお客様のSEO対策状況の統計となっています。サンプル数として2000件を対象にしています。 現時点では2500件程になっていますが、こういったものも1ヶ月に10数件の受注件数しかない企業では算出が難しいため、リサーチ会社に依頼したものか、各社シンクタンクが出している市販の統計資料に頼らざるを得ないと思います。私たちの場合は、仮に後者のような統計資料が手元にあっても丸々全部を信用するわけにはいきません。現在のフェーズにおいて顧客戦略を考える上で私が重要視しているのは、「私たちのお客様の状態が現状どうなっているのか」ということで、一般論は今後の戦略立案のために上司に提出する企画書を飾るレトリック、あるいは、説得材料の根拠程度の用途しか期待しておりません。
■(下図)当社顧客データベースより、SEOサービスを提供中のお客様のWebサイトをエクセルファイルに抽出し、提案キーワードの上位表示順にソートした社内データ
こうした資料を「欲しいときに欲しい条件」で即抽出可能なように、情報を整理しつつ管理してゆくことで、営業戦略上はもちろんのこと、私たち開発・サービス提供部門においても、傾向と対策を把握しやすいため、改善にも活かすことができると考えています。
今、伸びているのは「情報産業」ではなく、「情報整理産業」
/『情報大爆発 コミュニケーション・デザインはどう変わるか』(秋山 隆平著)
こうしたデータマイニング的な情報処理の必要性にも迫られたため、今期よりSEO専任スタッフの職域を拡大し、Web解析全般に携わる職務を遂行してもらおうと考えています。今後にご期待下さい。
さて、話はうって変わりますが、先般は入社前日に内定取り消し措置を行った企業がニュースで話題となりました。私の就職活動期は山一證券破綻による内定取り消しがあった時代でしたが、今年は半強要的に内定辞退や自宅待機を迫られたケースも含めると、その当時を上回る数の新卒の方が内定取り消しの事態に遭っていると聞きます。
そうした時代に、当社にも新卒が全国で十数名入社してくれました。新卒採用は今年で4期目です。3年前の2006年4月入社の面々も、続く07、08新卒入社者も、今では現場の最前線でバリバリ活躍していますので、新卒向け研修を終えて現場配属となる日が今から待ち遠しい気持ちで私はいます。
新卒入社者の多くが、「早く仕事を覚えて職場で活躍したい!」と逸る気持ちを抑えながら初めての実務に直面し、理想と現実とのギャップを感じたり、思っていた以上に難しいことを痛感するビジネスコミュニケーションの壁と対峙することになるでしょう。それを一つひとつクリアしてゆく中で、お客様とのコミュニケーションに楽しさを覚えたり、自分の成長を感じたり、仕事のやりがいを感じてブレイクスルーしてゆく姿を想像しながら、受け入れ側の私たちも毎年、組織としての成長を強いられることになります。
私たちにとってはもはや常識となっている社内の業務フローも、新たに加わるメンバーから見れば複雑怪奇な内容かもしれない、今では慣れてしまって気にも留めないことが実は不安の対象だったりすることもあるかもしれない、自己成長のために何気なく心掛けている行動習慣が気付きにくいかもしれない、そういった目には見えない新卒入社者のニーズを想像しながら、私たちは彼らが最も効率的に成長できる階段を準備しなくてはなりません。
当然ですが、新卒入社者を受け入れることが嫌で内定取り消しにする企業はありません。昨今の経済危機に起因する、かつて経験をしたこともないくらいの不測の事態に、どの企業も苦渋の決断だったことと思います。そうした時代の中で全社員数の10%弱の人数の新卒入社者を採用できる当社環境をありがたく感じなくてはいけないなと思っています。
新卒入社者育成のミッションは私たちにとっても自己成長のための課題です。また、自分たちのためだけでなく、今後彼らが成長し、サービスを提供する立場になった際に、お客様に喜んで頂けるように実務能力を高めていかなくてはなりません。企業の評判管理も、Webサイトの上位表示も、常に現状に満足することなく課題を見つけ、お客様が当社に投資頂く貴重な運転資金・広告予算は、コストセンター部門であるCS本部として、1円たりとも無駄遣いすることのないように「生産」か「還元」かに繋がるように活用していきたいと考えています。
私は人間というのはそれぞれみな、まだ発掘されていない財宝のような存在だと固く信じている。人それぞれに限りない可能性を秘めている。
/『ムハマド・ユヌス自伝 貧困なき世界をめざす銀行家』(ムハマド・ユヌス&アラン・ジョリ著,猪熊 弘子訳)
本コラムの締めくくりとして、先月3月25日に来日講演された、ムハマド・ユヌス氏の自伝から引用をして終わりたいと思います。今期も1年、どうぞ宜しくお願い致します。