ヒット商品連発!|ヘルスケアビジネスの鍵を握る?トクホ(特定保健用食品)取得のメリット・デメリット

投稿者:コンテンツ編集課

2009/06/30 09:52

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・黒烏龍茶(サントリー株式会社)
・ヘルシアウォーター(花王株式会社)
・アミールS(カルピス株式会社)
・健茶王(カルピス株式会社)
・明治ブルガリアヨーグルト(明治乳業株式会社)
・ファイブミニ(大塚製薬株式会社)
・午後の紅茶 ストレートプラス(キリンビバレッジ株式会社

 


さて突然ですが、上記に挙げた商品の共通点にお気づきでしょうか? 何となく健康に良さそうな飲料水かな? といったイメージを持たれるのではないでしょうか。


正解は、いわゆるトクホ(特定保健用食品)というカテゴリーに含まれる食品です。何らかの形でヘルスケアビジネスに従事している方ならピンと来たのではないでしょうか?


右肩上がりに拡大するトクホ市場は、2007年度の統計で6,798億円市場と推定され、日本健康・栄養食品協会が調査を開始した10年前に比べて5倍以上の伸びを見せています。※(トクホには平成21年6月3日現在、855品目が登録)

 

■トクホ(特定保健用食品)とは


平成3年7月の省令案「栄養改善法施行規則の一部を改正する省令」(厚生省令第41号)により導入された制度で、健康増進法の中で以下のように定義づけられています。


健康増進法第26条第1項の許可又は同法第29条第1項の承認を受けて、食生活において特定の保健の目的で摂取をする者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品。


ある特定の生理的機能に影響を与える成分(関与成分と言う)を含んでおり、その効果が厚労省に認可された食品を特定保健用食品と言います。最大の特徴は、認められた健康効果(許可表現と言います)の表示が許可されていることです。通常、医薬品以外(医薬部外品を含む)では、薬事法上、効果効能表示が限定されていることから、トクホは一般食品と比べて広告表現上、優位に立つことができるというわけです。


とは言え、医薬品ではないので、病人に対する薬効表現は不可ですが、(病人になる可能性のある人に対する)将来の生活習慣病の発生リスクを防止するための表現などの訴求が可能になり、なんといっても厚労省のお墨付きであることがことから、消費者の人気を集めています。


トクホ許可表現の例

 


・黒烏龍茶(サントリー株式会社)
本品は、脂肪の吸収を抑えるウーロン茶重合ポリフェノールの働きにより、食後の血中中性脂肪の上昇を抑えるので、脂肪の多い食事を摂りがちな方、血中中性脂肪が高めの方の食生活改善に役立ちます。


・ヘルシアウォーター(花王株式会社)
本品は茶カテキンを豊富に含んでおり、エネルギーとして脂肪を消費しやすくするので、体脂肪が気になる方に適しています。


・アミールS(カルピス株式会社)
本品は「ラクトトリペプチド」(VPP、IPP)を含んでおり、血圧が高めの方に適した食品です。


・健茶王(カルピス株式会社)
本品は食物繊維(難消化性デキストリン)の働きにより、糖の吸収をおだやかにするので、食後の血糖値が気になる方の食生活の改善に役立ちます。


・明治ブルガリアヨ?グルト(明治乳業株式会社)
LB81乳酸菌の働きにより、腸内細菌のバランスを整えて、おなかの調子を良好に保ちます。


・ファイブミニ(大塚製薬株式会社)
ファイブミニは、食生活で不足しがちな食物繊維を手軽にとり、おなかの調子を整える食物繊維飲料です。


・午後の紅茶 ストレートプラス(キリンビバレッジ株式会社)

本品は、難消化性デキストリン(食物繊維)の働きにより、糖の吸収をおだやかにするので、食後の血糖値が気になる方の食生活の改善に役立ちます。

 
まとめますと、トクホ市場拡大の背景には、大きく以下の二点があります。


(1)薬事法や健康増進法などの表示・広告規制の強化
(2)メタボリックシンドロームを始め生活習慣病のリスクが一般に浸透した


トクホで謳える健康効果(整腸、コレステロール、血圧、骨、ミネラル、歯、血糖値、中性脂肪・体脂肪)と現代人の生活習慣の悪化が相まって、商品ニーズは拡大する一方で、同時に薬事法や健康増進法の規制強化が推進され、厚労省お墨付きの「許可表示内容」を訴求することで「高い広告効果=売上げアップ」を実現していると言えます。


確かに今、成功する確率の高いビジネスと言えそうなトクホではありますが、商品の特性や企業規模を熟慮しないとならないでしょう。闇雲にトクホ申請をすればいいのかと言えば、そう簡単ではありません。


第一に難しいのが、トクホ取得のためには莫大な費用がかかるということ。あらゆる臨床実験を経て科学的な根拠データを提出し、行政から適性と認められる必要があります。その費用総額は1億円をゆうに超えると言われ大きなリスクが伴います。


二点目として、広告プロモーションを前提とした展開を考えないと意味がないということです。密かにトクホ取得して、お得意さんを相手にするようなビジネスには得策とは言えません。広告プロモーションを大々的に展開することではじめてメリットを得られるビジネスなのです。商品単価を踏まえ、どの程度の広告費を費やせば元手を回収できるのか、綿密に戦略を練ったうえで取得に踏み切らないと成功は見えてこないでしょう。


ヘルスケアビジネスにおいて、トクホは新規顧客獲得、市場拡大のカギだと言えます。今後、Webを活用してマーケットを拡げてゆくためには、Web戦略・Webマーケティングといった部分は大きな意味を持つでしょう。私たちとしてもこうしたトレンドを見守りつつ、Web戦略と健全な広告表現をもってクライアントビジネスの一助になればと考えています。


【編集担当:松岡】

Webライティング