【続】美容医療ホームページにメス!?|クリニックの広告・広報戦略の展望を探る
投稿者:コンテンツ編集課
2012/03/27 19:40
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今年度中に策定される「医療機関のホームページに関するガイドライン(仮称)」について、想定される具体的な内容について考えてみたいと思います。
まずは、先月29日に「医療情報の提供のあり方等に関する検討会」が報告書を発表したのでその内容からの抜粋。
1.医療に関する広告規制
病院情報等のインターネット等による提供・医療機関のホームページ(HP)については、引き続き医療法上の広告とは見なさず、自由診療分野を中心としたガイドライン※を国で作成し、関係団体等の自主的取組を促進する。
・必要に応じて、不当表示防止法や不正競争防止法による規制が適用されるよう、関係省庁と連携しつつ、虚偽や誇大な表示等の基準を明確化する
・ガイドラインによる取組で改善が見られない場合には、対象を絞りつつ法規制も含めてその後の対応を検討する
・現行の医療法の規制についても併せて周知・徹底する。
※ 医療機関のHPに記載してはならない事項のほか、最低限記載すべき事項などを規定する。
(医療情報の提供のあり方等に関する検討会報告書より抜粋)
前回のコラムで書いた内容とほぼ一緒です。やっぱりその方針で進めますよ、ということですね。改めて「自由診療向けのガイドライン」「他の法規との連動を図り表示基準を明確化する」「検証しながら牽制を利かせたい、実効性を持たせたい」といった意思表示がなされました。
ということで、医療美容系ホームページを手掛ける、広告代理店や制作会社、美容医療系クリニックが気になるのは、やはり、ガイドラインで規制されることになるであろう具体的な内容(表現)ではないでしょうか?
これから策定される「医療機関のホームページに関するガイドライン(仮称)」をある程度想定できていないと、ホームページの修正はもとより、連動する広告や広報戦略に大きな影響を及ぼしかねません。
そこで今回は、現状ホームページ以外の広告で規制されているリスト(内容)や、内閣府より美容分野で唯一認定されている公益社団法人である認定日本美容協会(JAAM)の自主規制コードなどに基づき、規制対象になりうるリスト(内容)をチェックしてみたいと思います。
◆ホームページ規制の対象となる分野は?
美容整形や脱毛、脂肪吸引などを行う医療機関、その他の自由診療を行うクリニック。自由診療を行う歯科クリニックも対象となる。事実、報告書には、「インプラント治療」への規制は必要だと明記されている。
◆優良誤認を招くような比較表示
「日本一」「No.1」「一番」「最高」「絶対」「至高」「究極」といった文言は、客観的な事実であってもNGとされる。客観的な事実を証明できれば問題ないとする景品表示法とは異なる点に注意したい。
◆体験談・患者様の声
体験談は、広告主が意図的に抜粋できるうえ、そもそも体験談を寄せる場合ポジティブな内容であることが想定される。客観的な事実であることを証明することができない類のものはNG。モニター体験談、お客様の声などは「医療機関のホームページに関するガイドライン(仮称)」でもNGとなるだろう。
◆公序良俗に反する内容
残虐・わいせつな写真や映像、差別を助長する表現、不安をあおる表示は医療広告や医療系ホームページには不適切である。
◆術前・術後の比較写真
個々の患者によって治療効果が異なるため、写真では治療効果を適切に表示できない。治療効果を暗示・明示する、いわゆるビフォー・アフター写真は当然NG。
◆事実を不当に誇張した表示
虚偽かどうかを問わず、医療の内容(治療費や施設の規模など)について事実を不当に誇張して表現してはならない。「永久保証」という表示は無条件で掲載不可とされる。一般消費者が特に着目するであろう「料金や費用の表示」は特に正確に。
◆○○○センター等の表記
医療広告ガイドラインにもあるように、ホームページもこのような表示が禁止される可能性が高い。公に認められた「センター」「研究所」「相談所」であれば問題ないが、任意で付けた名称・呼称はNG。
◆肩書きやスタディグループの表示
ホームページの場合、医療法上の広告ではないので現状問題ないが、広告では学会名の表示はガイドラインに反する。今回の医療美容ホームページの規制ではどうなるか。
◆キャンペーン価格表示
自費診療などのキャンペーン価格を広告してはならない。ホームページでも景品表示法の観点でグレーな扱いであったが、そもそも禁止になる可能性がある。なぜならこのキャンペーン価格で誘導してその後高額な医療費を支払ったという被害が後を絶たないから。
◆治療に使用している機器は医療機器か
レーザー脱毛機器(照射器)など、治療に用いる機器は薬事承認を受けたものでなければならない。当然承認を受けた効果を超えた内容を表示してはならない。またホームページでも医療機器であることを明示することが義務化されるかもしれない。
◆有名芸能人やモデルの使用
有名モデル御用達といった表現で勧誘することはできない。つまりモデルの容姿などと実際の医療内容を暗に関連づけることは誤認の元。
ここでは、ホームページを含まない医療広告で規制される内容を、いわゆるネガティブリスト方式で列挙してみましたが、逆に、「治療内容・治療費・リスクや副作用」など、医療広告やホームページに記載しないとならない事項もあります。
まずは消費者保護の観点に立ち返り、既存ホームページをチェックしてみて、自社内でガイドラインやチェックシートを策定しておくことをお薦めします。
【編集担当:松岡】