「糸井重里に学ぶ“咀嚼力(そしゃくりょく)”とは|Webライティングコラム」
投稿者:コンテンツ編集課
2013/06/07 16:00
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前回、「90%のWeb担が気づいていない!クリックされるタイトル作法」として、ひらがなの視認性を有効活用した見出しの付け方テクニックをお伝えしました。今回は、ひらがなを有効活用したコンテンツの品質アップについてお話します。ひらがなを意識的に使うことで、視認性に加えてわかりやすさも高められるのです。
「ほぼ日」はなぜサラッと読めるのか?
知らない人はいないWebサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を例に、ひらがなとわかりやすさの関連性をひもといてみましょう。「ほぼ日」は糸井重里氏のエッセイ「今日のダーリン」を筆頭に、農業から東日本震災まで大半のコンテンツがひらがなであふれています。
ひらがなのやわらかさがサイトの雰囲気を作っているのはもちろんですが、ひらがなにはわかりやすさを倍増させ、読み手との距離をグッと縮める効果があります。
その理由は、ひらがなの文章はすでに「咀嚼(そしゃく)」がなされているから。漢字だと考えさせられてしまう難しい文章も、咀嚼をしてひらがなにすることで、スッと頭に入るシンプルな文章になるのです。
小中学生にもわかってもらえるような「咀嚼」が大切
咀嚼とは、専門的な知識・用語、マニアックな着眼点などありとあらゆる要素をもぐもぐとインプットし、かみ砕き、わかりやすい言葉に置き換えてアウトプットする一連の工程を指します。
以下は咀嚼の例文です。
「事業運営の手法を理解せずに着手しても、将来性や安定性に欠け、高収益を手にすることが困難になる」
↓
「商売のやり方がわからないままはじめても、ずっと儲けるのはむずかしい」
このように、お堅い文章でも咀嚼することで小中学生でもわかる文章にできます。
上手な咀嚼とは、単なるひらがなの多用ではなく、的を射た必要最小限のひらがなを選定できていること。「ほぼ日」がなんだか読みやすくてわかりやすい理由は、みんなが理解できる文章を書ける、高い咀嚼力を持った書き手がいるからなのです。
咀嚼力を鍛えてワンランク上のWebライティングへ
咀嚼力は、Webライティングを手がける人にとって非常に重要なスキルだと思っています。そもそもWebは、多くのページの中から選ばれることを追求して進化を続けている世界。多くの人に“自分にもわかる”と思わせることは人気を集める最低条件だからです。今、SNSで文章コンテンツの拡散をねらうとして、わかりにくい文章でバズらせようと思う人はまずいないですよね。
「ほぼ日」の糸井重里氏は、シンプルで飾らない、でも的を射たキャッチコピーが有名。東京コピーライターズクラブのパーティーでスピーチをされた際に以下のように語ったそうです。
「やればやるほど、普通の人になっていく。
それがコピーライターという職業じゃないかな、とこの頃思うようになった。
普通の人以上に普通のことを考えられる。
さらに磨きをかけた取り柄のない人になっていこうと思う」
みんなにとって身近であること。
あなたにとって普通であること。
この、普通を追求する姿勢こそが「ほぼ日」テキストの真髄です。
難しいことを難しいままアウトプットして済ませても、質の高い文章コンテンツにはなりません。難解でマニアックで多くの人が敬遠しそうなテーマこそ、身近でわかりやすい文章に咀嚼することを意識してみてください。シンプルなひらがな文章に変換する作業は咀嚼力を高める訓練になり、思考力と表現力を高められますよ。
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