ディレクション講座07【ゴールを決めるのは誰だ!?】
投稿者:Webマーケティング部
2010/01/31 16:50
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『サイトのゴール(目的)を決めるのはディレクター!?』
ディレクターであって、ディレクターであってはならない。
のが正解でしょうか。
禅問答をしている訳ではありません。
これは非常にバランスが難しい問題なのです。
語弊があってはいけないのですが、無論のこと、サイトのゴール(目的)を決めることがゴール(決着)だとしたら、そのためにディレクターがいることは言うまでもありません。
しかし、どのような種類のゴールが必要なのか、誰に最後のシュートを打たせたいのか、そのゴールにどのような結果を求めているのか、意味を持たせたいのか、等はディレクター一人で決められるものではありません。
少々「ゴール」の扱いがややこしくなってきましたが、
サッカーに例えるなら、ディレクターの仕事は、サイト上での、
ゲームメイク
ということができるでしょう。
あるゴールに向かって、ボールをどう運ぶかの戦略を立て、そのための戦力を配置する、それがサイトの構造そのものになるはずだからです。
Web上で可能なサイトのゴールをカテゴライズすると、大枠、
■メール、FAXでのお問い合わせ
■電話でのお問い合わせ
■お見積り依頼
■資料・カタログ請求
■商品・サービスの購入
■実店舗への誘導
■商品・サービス告知
■企業・商品ブランディング
■他サイトへの誘導
このくらいになります。
ここで一番やってはいけないのが、全部をゴールにすることです。
Webサイトを作ろうとしているお客様からしてみれば、全部で結果が欲しいのは当然、ゴールはできるだけ多い方がいいに決まっている、と思ってしまいがちです。
しかし、ひとつのサイトで描けるストーリーは、ほとんどの場合が「ひとつ」です。
推理小説を思い浮かべてみてください。
たいてい、犯人は一人ですよね?
ひとつのストーリーで、何人もの犯人を設定はできません(共犯は別にして)。一人の犯人にたどり着くために、事前の情報があって、伏線があって、登場人物たちの関係があって、ストーリーが展開されます。
それまでの情報や伏線を完全に無視して、最後の最後に、いきなり記憶の欠片にもない登場人物が犯人として名乗りを上げたら、読者(消費者)には「なんのこっちゃ」です。
犯人(ゴール)が異なるなら、ストーリーも変更しなければなりません。
1冊の小説でそれを表現するのが不可能なように、「ひとつのサイト」で「ひとつのストーリー」を構成することが最もエンドユーザーにはわかりやすい形であり、そのためにゴールは「ひとつ」とするのが最も望ましいと言えます。
(Webサイト上で、ゴールを幾つも設定すること、それ自体は可能なのですが、この手法が可能なのは、既に業界内で地位を確立し、会社名を聞けば、誰にでもわかるような企業様だけです。推理小説でいえば、その作者が好きになった場合、その中から本を選ぼうとしますよね?)
では、そのひとつのゴールをどうやって決めて行くべきか、を考えてみましょう。
Webサイトですので、最も設定されやすい「メールフォームを用いた」ゴールを例にとります。
メールフォームの場合、
●質問、相談をしてもらう
●資料請求をしてもらう
●見積もり依頼をしてもらう
●商品・サービスに申し込んでもらう
といった段階的な要素が一般的ですよね?
このうちのどれに重点を置くかは、業種やサービス内容によって異なりますが、ある程度、論理的に設定可能なところです。
普通に打ち合わせをしていれば、ゴールは「メールで資料請求をしてもらう」に決定、などとすんなり行ってしまうことも少なくありません。
しかし、それだけでゴールを決めてしまうのは、少々早計です。
お客様はそもそもメールのやり取りが苦手で、郵送にも慣れていない、これまでの統計からも、「電話の方が圧倒的に成約率が高い」かもしれません。これをヒアリングできていないと、お客様の強みが活かせず、いざ、お問い合わせが来てみてから、「メールに返信できる人員も配送する人員もいなかった」と、お客様が困ってしまう、ということになりかねません。
だからと言って、ヒアリングで得た、お客様の強みを活かすことだけを考えて、簡単に電話でのお問い合せをゴールに設定するのも、また早計です。
お客様は、電話での対応にはそもそも自信があるけれど、かかってくる電話の内容を見る限り、単なる質問が多く、人件費がかかるので、できるだけ簡単な問題はメールで済ませる方向にしていきたい(もしくは、そうすべき状態にある)、かもしれません。企業の弱点を補う方向でのサイト設計も当然ある訳です。
サイトのゴール設定を行う際に、ディレクターは、特に以下の2点に注意を払うべきだと言えます。
■経営方針(強みを生かす方向か弱みを補う方向か)
■Webサイトに関わる運営体制(消費者に対するレスポンス体制)
お客様がご希望なら、それで良しとする考え方もありますが、そのゴールの向こうに何を見るかで、ゴールの質が変わる、ということを忘れてはなりません。
どちらにせよ、ディレクターが単独でゴールを決定する訳にはいかない理由がここにあります。
お客様ありきのゴール設定
なのです。
ゴールが決まると、サイトの構造もほとんど決まってきます。
一概には言えませんが、メールであれば、商品・サービスのコンテンツを目立たせます。電話であれば、商品・サービスに並列させて、会社の雰囲気、電話した時の不安を払しょくできるイメージを伝えるべきでしょう。
ゴールがないと、これが決まらないのです。
それくらい、ゴールを決めるということは、全てのビジネス活動に影響を与える行為に等しいと言えます。
当社では、ほとんど全てのことに、
G-PDCAサイクル
という言い方を良くします。
「G」はGOAL、ゴールありきのPDCAサイクルで組み立てる、ということです。
サイトに限らず、目的、目標、ゴールを設定するという行為は、ライフサイクルの中で非常に重要な意味を持ちます。
単純に、頑張れる、からです。
大学に行かないのに受験勉強をする人はいませんし、誰も助ける気がないのにボランティア活動にいそしむ人はいません。
今一度、サイトに限らず、「ゴール」について考えてみるのも面白いかもしれません。
あなたのゴールは、決まっていますか?
【編集担当:吉田】