ディレクション講座11【ディレクター自身に必要不可欠なモノとは!?】
投稿者:Webマーケティング部
2011/07/14 12:21
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『ロゴス(論理)とパトス(情熱)の共存』
ここまでは、『講座』と銘打っているくらいですので、
考え方、手順、技術、ツール、注意点などなど。。。
非常に論理的な内容を示してきたと思います。
これはロゴス(論理)です。
もちろん当社には、ディレクションをする上で必要な、
既に用意されているフォーマットがあり、ツールがあり、管理方法があり、
いわゆるロゴス的な体制があります。
それは長年の月日を経て、研磨され、幾度も改訂されてきたものですので、
現状という意味では、
当然、それまでで最高のレベルに達しているはずです。
しかし。
それだけでは足りません。
それだけでは、決して未来に価値を生むWebサイトにはならないのです。
ここに足さなければならないもの。
それがパトス(情熱)です。
繁雑な状態のものを仕組み化すると、『効率的』になります。
仕事が速くなり、楽になり、ミスが減り、早く家に帰れるようになり、
いいことづくめで、皆が嬉しいのは当たり前です。
しかし。
この仕組みに心酔し、しがみついてしまうと、
あっという間に、最高だったはずの仕組みが、足枷に変わります。
気付いたときには、致命的な疾患に変わっていることさえあります。
理由は簡単で、その仕組みの中にいる限り、
絶対に、それ以上にはならないからです。
戦略という先読みをするのがWebディレクターの仕事と仮定するならば、
ディレクターは決して仕組みに呑み込まれてはなりません。
利用することはあっても、仕組みの内側に入ってはならないのです。
予測という行為が内包されている以上、
ちょっとだけでも、常にはみ出していなければならないからです。
はみ出すために必要なモノ。
それがパトス(情熱)です。
私がディレクターのチームを見るようになった以前から、
ディレクター用の提案資料や解析ツール、ヒアリングシートなど、
幾つものツールが開発され、時には立ち消え、改編され続けてきました。
その中で私は、長い間、
何とかそれらのツールを平準化・統一化しようと躍起になっていました。
何をどう統一しても、ディレクターごとに次々と亜種が生まれ、
いつの間にかオリジナルな状態になってしまうのです。
勝手なことしやがって!と叫びたいのをこらえつつ、
解決策を模索し続けていました。
管理するには、あまりにも宜しくない状態、だった訳です。
ところが、それがマイナスではないと気付いたのは1年くらい前でしょうか。
独自の進化を遂げたツールを良く見てみると、
基本ラインからそれほど逸脱している訳ではなく、
細かいところでの追加、修正、試しがほとんどで、
(時には、前衛的すぎるものもありましたが)
それは創意工夫の足跡、とでも呼ぶべきものでした。
そしてそれは、ほとんどがプラスに働いていると言うことができました。
それを紐解くと、要するに、
もっと効率的にならないか
もっとお客様のためにならないか
もっといい資料にならないか
もっといいサイトにならないか
もっと付加価値をつけることはできないか
もっと自分はできるはずだ
という、
ディレクター個人個人の前進する『想い』そのものだった、
という訳です。
これこそがパトス(情熱)です。
そしてそれこそが、常なる改編・改定の要因となり、
推進力そのものになっている、と思うことができました。
むしろ、
統一されたものの中に埋没してしまうようなメンバーがほぼいなかった、
ことに感謝せねばと思ったくらいです。
仕組み化しないと管理できないなんて、管理者の言訳に過ぎない、
そのはみ出した部分も管理できるように考えるのがお前らの仕事だろ、
と、そんな風にさえ言われているような気がします。
ですので私は、完全統一の優先順位を極端に下げ、
ノウハウを活かせる基本ラインの概念部分と、
一部のツールの使用のみは残し、
パトスを注ぐことになりそうな、特にサイト上で可変しそうなところに関しては、
ディレクター個人に任せられるようなツールにすべきと、
考え方をシフトチェンジしています。
物事を仕組み化・工場化するのは、管理者からすれば、非常に楽です。
生産ラインという考え方であれば、
きっと、それが正解であることの方が多いでしょう。
ただ、
ロゴスだけでは未来に橋が架かることはない、
点ではクリアできても、線ではクリアできない、
ような気がしてなりません。
如何にして、
ロゴス(論理)とパトス(情熱)を共存させるか。
私は、立場上、
はみ出した行為をたしなめ、ルールを守れと口では言わなければなりませんが、
内容が致命的ではない限り、心の中では、
「そのまま突っ走れや!」と叫んで・・・・・・・いるとかいないとか。
【編集担当:吉田】