アサヒビールの売上に貢献するためのSNS活用法

投稿者:Webマーケティング部

2017/08/16 13:47

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こんにちは、マーケターのAsamiです。
お盆休みはいかがお過ごしでしたでしょうか? 私は、毎度の通り地元に戻り美味しいものたくさん食べ、日々励んでいるダイエットが水の泡。汗

毎回分かっていても地元に戻ると食べすぎてしまいます…。これは、もうダイエットを諦めるしか無いですね。笑

さて、本題にまいりましょう。
先日、コンテンツ東京2017で聴講したアウディジャパン株式会社のセミナー内容(参考にしたい!!アウディが力を入れる“コンテクスト“とは?)をご紹介させていただきましたが、本日は、アサヒビール株式会社 マーケティング本部 デジタルマーケティング部 主任 玉手 健志様による「美味しそうで、くだらないっ!笑 アサヒビール流“売り上げから逃げない”ソーシャルメディア戦略」をご紹介したいと思います。

目次

1. アサヒビールのデジタルマーケティング部とは?
2. アカウントを運営する際に心がけていることはなんですか?
3. KPI・KGIはなんですか?
 デジタルに対して社内の理解がなかなか得られえません。心がけていることはありますか?
4. 最後に

1.アサヒビールのデジタルマーケティング部とは?

まずは、アサヒビールのデジタルマーケティング部に関してご紹介します。

「Owned Digital Mediaを通じて、ブランドへの関心度が高い優良顧客と常時接続できる状態を保ち、マーケティングに活用していくこと。そして売上に貢献すること。」というミッションを掲げています。

そして、Webサイト・会員制サイト・ECサイト・SNS(Facebook、Twitter、LINE他)・アプリなどを部署内で運用を行っています。

今回は、この中からSNS(Facebook、Twitter、LINE他)の運用に関してお話しいただきました。

玉手様は、頻繁に色んな方からアサヒビールのSNS運用に関して質問をいただくそうです。その質問の中から今回いくつかピックアップしていただきました。
・アカウントを運営する際に心がけていることはなんですか?
・KPI・KGIはなんですか?
・デジタルに対して社内の理解がなかなか得られえません。心がけていることはありますか?

本日は、以上の質問に沿ってお話していきたいと思います。

2.アカウントを運営する際に心がけていることはなんですか?

それは、「投稿ネタをなんとなく自社目線で決めないこと。」

会社目線で、会社が伝えたいことだけを投稿していても、片思いの一方通行にしかなりません。ユーザーの興味や関心事をしっかり捉えて、それに当てはまるものを発信していかなければユーザーには刺さりません。

ユーザーのニーズと会社が伝えたいことがしっかりと交わっていることが重要ということです。

ある日、玉手様がアサヒビールが伝えたいことを基に、ユーザーが興味を持ってくれるであろう話題をTwitterに投稿しました。すると、150のリツイートと490の「いいね」を獲得したそうです。

一見いい数字に見えるかと思いますが、アサヒビールのTwitterには60万人以上のフォロワーがいます。

この数字から考えると、150のリツイートと490の「いいね」は、思い描いていたリツイート数といいね数ではありませんでした。

では、今ひとつリツイート数と「いいね」数が伸びながった投稿に足りなかったのは何だったのでしょうか。

玉手様が導き出した答えは…
ユーザーがアサヒビールの投稿を見て、「飲みたいな」「美味しそう」「誰かに言いたい!」「試してみたい」などの感情を抱いてもらうということ。

そして、これを実現するためにアサヒビールが必要だと考えたコンセプトは、
「シズルカットに徹底的にこだわる!!」ことでした。

SNSに投稿する写真のシズルカットに徹底的にこだわることで美味しそうに見せ、ユーザーに「飲みたいな」「美味しそう」「誰かに言いたい!」「試してみたい」などの感情を持ってもらうことでより多くのリツイートや「いいね」を獲得することができました。

もちろん、全ての企業・業界がシズルカットにこだわる必要はありません。自社が持つ商品やサービスの価値をお客様に十二分に感じていただくためには何に特化すべきかしっかりと定めることが重要です。

なぜ何かに特化しないといけないのかということを、これからご説明したいと思います。
「参考にしたい!!アウディが力を入れる“コンテクスト“とは?」でもご紹介させていただきましたが、現在オンラインもオフラインも情報が溢れかえっている時代です。

下図の通り、9産業(サービス業、情報通信業、運輸業、不動産業、金融・保険業、商業、電気・ガス・水道業、建設業、製造業)におけるビックデータの流通量はこの9年間で約9.3倍も増えていることが分かります。

(出典)総務省「ビッグデータの流通量の推計及びビッグデータの活用実態に関する調査研究」(平成27年)

また、下図からも流通している情報量と、人間が消費できる情報量の差が近年どんどん広がっていることが読み取れます。

総務省「情報流通インデックスの計量」調査(平成23年8月)

今や至るところに情報が溢れかえっているにも関わらず、人は全く情報量を消費しきれていない状況にあります。

つまり、企業がどれだけたくさんの情報を流しても効果的にやらなければユーザーに届く可能性は非常に低いと言うことです。また、全くニーズのないユーザーに届けても意味はありません。

企業はターゲットとするユーザーに対して確実に情報を届けられる方法を模索しなければならないのです。

SNSも同様に、ユーザーは情報を処理しきれておらず、ただ投稿しただけでは伝わっていきません。伝わっていないということは、発信していないのと同じです。

星の数ほどあるアカウントの中でユーザーにしっかりと伝わるよう自社が「特化」すべきポイントを磨き、他のアカウントと明確に差別化することが大切です。

3.KPI・KGIはなんですか?
デジタルに対して社内の理解がなかなか得られえません。心がけていることはありますか?

KPIやKGIについての手近な数字といえば、ファン数・広告効率・トータルリーチ・反応率の4つだそうです。その中でも、特にトータルリーチ・反応率が重要。

しかし、この4つの数字だけに注目していたら
「SNSで話題を作って、バズらせて、たくさん「いいね」を獲得して、ポジティブなコメントをもらって、とにかく毎日のコミュニケーションを通じてアサヒビールを好きになっれもうこと」が目標になってしまいます。

しかし、バズっても結果、何も変わらなかった場合どうでしょう。そもそも何のためにSNSに取り組んでいるのか考えてみてください。

企業の最終的な目標というのは、事業目標を達成することです。ということは、バズったけど事業目標の貢献に繋がらなければWeb担当者に明るい未来はないと言えるでしょう。

したがって、まずはKGIを明確に設定して、SNSの取り組みが会社の役に立っていると言えるようにしなければなりません。

アサヒビールが設定しているゴールは、「伝えたい相手にしっかりと伝えて、そして商品を購入してもらうこと。売上から逃げないこと」。

だからと言って初めから「事業目標に貢献しろ」なんて言われても戸惑いますよね。上でもお話しましたが、情報が溢れかえっている世界でなかなかユーザーに自社の情報が届きづらい時代になってきています。

少しずつ着実に事業目標に貢献できるよう、1つずつステップを踏んでいくことが大切です。

上図は、そのステップを表したものです。まず、まだ何にも貢献してもないし、ユーザーにも伝わってない状態からスタートします。

最初のステップは、貢献できていないけどユーザーに伝わる状況に持っていきましょう。すでにお話したように自社の「特化」すべきポイントを磨いて、他のアカウントと明確に差別化することで、ユーザーの元にコンテンツを届けることができます。

そして、最終的には事業目標に貢献しつつ、ユーザーに確実に伝わっている状態にしていきましょう。

ここで、1つの疑問が思い浮かぶかと思います。それは「事業目標への貢献をどう可視化するのか」ということ。投稿したコンテンツがユーザーに届いているのかは、最初にお伝えした4つの数字で見ることができます。

では、結果それが売上にどう繋がったのか、本当に事業目標の貢献に繋がったのかは、どうしたら分かるのでしょうか? 実は現在、その明確な方法としては確立できていませんが、例えばポイントカード・EC連携・消費者パネル・アプリ・アンケートなどを駆使すれば、おおよその数字を導き出せるようになってきています。

アサヒビールでは、この事業目標への貢献度の可視化について日々ブラッシュアップを続けており、2週間前のツイートの結果が見られるようになってきたり、Twitterのフォロワーとそうでない人の売上をグラフ化できるようになってきたりしているそうです。

企業によってもSNSの活用の位置づけは異なるかと思いますが、どの企業も最終的には事業目標を達成することが目的となるので、そこにしっかり貢献していることをアピールしていくことが、Web担当者にとって重要と言えるでしょう。

4.最後に

長くなりましたが、最後までお読み頂きましてありがとうございます。
気になる点など何かあればFacebookにコメントをいただければと思います。
これからも、このブログを読んでいただければ嬉しいです。
よろしくお願いいたします。

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